ふるさと納税ついに脱・返礼品?寄付金で犬・猫殺処分ゼロを目指す自治体が広がる…いずれも豪華な返礼品は用意せず

ついに脱・返礼品か? ふるさと納税で犬、ネコ殺処分ゼロへ
ふるさと納税の寄付金を活用して収容した犬やネコの殺処分ゼロを目指す地方自治体が徐々に広がってきた。名古屋市兵庫県尼崎市は犬の殺処分ゼロを達成したほか、徳島県災害救助犬やセラピードッグの育成で殺処分数を減らそうとしている。
いずれも使用目的をはっきり示し、豪華な返礼品を用意していない。ふるさと納税は返礼品競争の過熱がしばしば問題になってきただけに、近畿大短期大学部の鈴木善充准教授(財政学)は「寄付金税制という観点からすると望ましい方向」とみている。

名古屋市ふるさと納税で犬の殺処分ゼロを達成


 名古屋市のホームページには、ふるさと納税で寄付した人の名前が並ぶコーナーがある。「目指せ殺処分ゼロ!」を掲げた寄付金のページだ。賛同してくれた人へ感謝を込めて名前を記載している。

 寄付金は千種区名古屋市動物愛護センターに収容された犬やネコのえさ、薬代、譲渡ボランティアへの支援物資に充てられるが、目を引く返礼品は用意されていない。返礼品と呼べるものは1万円以上の寄付に対して贈られる動物愛護バッジぐらいだ。

 ふるさと納税を活用した寄付金の募集は2016年度、犬を対象に始めた。犬の殺処分件数が2013年度から83頭、59頭、23頭と毎年、減少していたことから、もう少しでゼロを達成できると考えたわけだが、予想以上の反響があった。

市内外の約400人から寄せられた寄付金は1,100万円ほど。収容した221頭のうち、6割が飼い主のもとへ帰り、残りは新しい飼い主の家族となった。その結果、事業初年度で犬の殺処分ゼロを達成した。

 2017年度からはネコにも対象を広げている。2016年度の殺処分数は400頭足らず。名古屋市動物愛護センターは「ネコは収容数が犬の5倍で、目標達成に時間がかかりそうだが、努力を続けたい」と意気込んでいる。

 
尼崎市は2012年度からふるさと納税で犬の殺処分ゼロに取り組む



(中略)



「賛同する事業への寄付」がふるさと納税の原点

 ふるさと納税は納税者が居住地以外の自治体に住民税などの一部を寄付する制度。地方の税収不足を補うのが目的だが、各自治体が肉や水産物など特産品を返礼品として次々に掲げ、派手な寄付金獲得競争を巻き起こした。

 返礼品目当てに寄付する人が増えたため、寄付額はここ数年、急増している。2016年度は全国で1,271万件の寄付があり、受入額2,844億円に達した。中にはパソコンや金券、貴金属まで返礼品に登場、総務省が再三、待ったをかけるケースも見られた。

 これに対し、殺処分ゼロを目指すふるさと納税に豪華な返礼品はない。大半の人が自治体の趣旨に賛同し、身銭を切っている。この姿がふるさと納税の原点なのだろう。
鈴木准教授は「ふるさと納税は寄付金税制だから、自分がやってほしい政策に寄付することは望ましい姿。自治体側も寄付金の支出先を明確に公開すべきだ」と指摘する。

 東京・有楽町で山形県長井市など全国7つの自治体が、ふるさと納税を呼びかけるイベントを実施した。PRしたのは返礼品ではなく、木造校舎の保存など各自治体の事業。参加自治体は事業への賛同者を懸命に募っていた。

 殺処分ゼロに向けて寄付を募る自治体の思いは、このイベントと変わらない。ふるさと納税はネットビジネスのように考えられてきたが、自治体の意識も少しずつ変わろうとしているのかもしれない。


全文と画像はソースで
https://www.sbbit.jp/article/cont1/34295