医療集団の中で浮いてしまう・・・。小学1年生の1割が発達障害、何らかの支援が必要★3

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171203-00010000-yomidr-sctch&p=1

発達障害について、精神科医で信州大付属病院子どものこころ診療部長の
本田秀夫さんに聞きます。(聞き手・松本航介)

中学1年生の女の子のエピソードを紹介します。彼女は、誰からも発達障害だとは
思われておらず、少し付き合いが悪いかな、という程度の普通の女の子とみられていました。
        
ある日、中学の部活で、部員みんなで試合に行くのに、「駅前で集合」と言われました。
その時、ほかの女子部員たちから、「私たちは先にコンビニで集まって、それからみんなで
一緒に駅まで行こう」と誘われました。

ところが、彼女は何と答えたかというと、「面倒くさいから、私は一人で行くわ」。

中学生くらいの女の子は、グループで一緒に行動するのが好きですよね。駅で集合するときも、
300メートルも離れていないようなコンビニにわざわざ集まって、そこから全体の集合場所まで
仲良く歩いていく。そういうのが楽しいのです。

そんな女の子同士の付き合いを自分から積極的に断ると、ものすごく変わり者と
みなされてしまいます。でも、彼女の場合、それが面倒くさいと感じるのです。
そもそも駅で集合するのに、なぜわざわざコンビニに集まって短い距離を一緒に行かないと
いけないのか。非合理的だ、と考えたというわけです。

その後、彼女は、他の女子部員たちから「あの子、変わってる」と思われ、仲間はずれにされて
部活にいづらくなってしまいました。

発達障害の一つ、自閉スペクトラム症の人は、自分のやり方、関心、ペースを最優先させたがる
傾向があります。一方で、仲良くなるための臨機応変な対人関係には興味がないか、苦手です。
そのため、集団の中で浮いてしまい、場合によっては学校に行けなくなってしまう、ということもあるのです。

入学前に8%近くが発達障害と診断、小学校の先生は「10%以上」が多数

これまで見てきたような発達障害の子どもは、どれくらいいるのでしょうか。私たちが
2013年度から続けている調査を紹介します。

横浜市広島市など全国十数か所の自治体に協力してもらい、小学校と医療機関の両方に
アンケートをしました。06年度に生まれた子たちが1年生だった時に、その子たちについて尋ねた
アンケートの結果は次のようになりました。

各自治体の小学校に「1年生の中で発達障害と思われる子はどれくらいいますか?」と質問しました。
子どもの中には、病院で発達障害と診断を受けた子だけでなく、診断はされていないけれど学校の
先生たちから見ると「この子は発達障害かも」という子がいます。そういう子も含めて答えてもらいました。

質問に対し、例えば横浜市だと、児童全体の10・9%という回答が得られました。他の自治体でも、
「10%以上」という回答が多かったのです。

一方、医療機関への調査では、06年度生まれで小学校に入るまでに発達障害と診断された子の割合を
調べました。横浜市の7・7%を筆頭に、5%以上の子どもが診断されていた地域がいくつもありました。

この調査からわかるのは、小学校入学前に多いところでは8%近くもの子が病院を受診して
発達障害と診断されていること。さらに小学校の先生たちから見ると、もう少し多くいるということで、
1割ぐらいの子に発達障害の特性が見られ、何らかの支援が必要と考えられているのです。

そしてその多くは自閉スペクトラムの特性を持っているということもわかってきています。