ブラジル柔道が子供たちに光に、貧困・犯罪防止の一助 リオの貧民街「神の街」1日に日本から道場に支援が送られる

http://www.afpbb.com/articles/-/3153910?cx_position=23

2017年12月2日 14:13 発信地:ブラジル
【12月2日 時事通信社】凶悪犯罪が横行するブラジル・リオデジャネイロのファベーラ(貧民街)で、柔道が子供たちを貧困の連鎖や犯罪への道から遠ざける一助となるなど、希望の光となっている。

 柔道を通じた人格教育を掲げるNGO「インスティトゥート・ヘラソン」(フラビオ・カント代表)が市西部シダージ・ジ・デウス(神の街)地区に構える道場では、下は4歳の幼児も含む青少年300人が畳を打つ音が一日中こだまする。

 「僕は目標に向かって努力する喜び、規律や礼儀を日々学んでいる」。五輪金メダルを目指すマテウスギマランエス君(12)に迷いはない。既に中南米大会で何度も優勝した有望株。母親ケイラさん(53)は「父親の死でふさぎ込んでいた彼を救ってくれた。柔道で身を立て、いつかこの街を出て成功してくれれば」と感謝する。

 ファベーラでは日夜、麻薬売人が街を闊歩(かっぽ)。流れ弾が飛び交う通りを子供たちが歩き回るのは親にとって深刻な懸念で、全てが無料の道場の存在は、多くのシングルマザーにとっても、安心して働くための託児所として機能している。

 この道場はリオ五輪女子57キロ級覇者ラファエラ・シルバ選手(25)を輩出するなど、成長著しいブラジル柔道界で大きな成功を収めつつある。アテネ五輪男子81キロ級銅メダリストでもあるカント氏(42)は「目指すのは競技成績だけではない。『畳の外でも黒帯』がモットーだ」と強調する。

 そんな道場に1日、日本から800万円相当の草の根文化無償資金協力物資が届けられた。畳172枚と柔道着150着などを星野芳隆リオデジャネイロ総領事から受け取ったカント氏は「日本からの援助は象徴的。何でも努力すれば成し遂げられることを子供たちに伝えたい」。全力で後進指導に当たることを柔道の母国に誓った。(c)時事通信社