EVEVはすでにガソリン車を所有するよりも年間コストが低くなっているという調査結果

日本を含む数カ国で行われた調査から、電気自動車(EV)を所有するコストは従来のガソリン車やディーゼル車よりもトータルで低くなるという結果が明らかにされています。

この調査はリーズ大学のKate Palmer氏らによる研究チームが実施したもの。新車を購入してから4年間の所有コストを、ハイブリッド型ではないEV、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車、ガソリン車、そしてディーゼル車の5車種に分けて試算したところ、EVが最もトータルコストが低くなるという結果が明らかになっています。また、その傾向は調査が実施された日本、イギリス、アメリカ(テキサス州カリフォルニア州)の全ての地域において同じ結果になっていたことも明らかにされています。

試算では、年間1万km~1万5000kmを走行する車両をモデルとして、補助金を含む車両価格を4年で割った費用、税金、メンテナンス費用、保険費用、燃料代および電気代を調査。その結果明らかになった1年間あたりの所有コストをGuardianがまとめたのが以下のグラフで、一番左にあるPure Electric(完全EV)が最もコストが低くなっていることがわかります。EVの場合は車両価格(水色)が占める割合が高いのですが、メンテナンス費(黄色)用の少なさに加えて電気代(灰色)が非常に安く済むためにトータル費用が抑えられるという結果になっています。
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一方のガソリン車およびディーゼル車は、車両価格は低いものの、燃料代(濃いオレンジ色)が多くかかるためにトータルのコストを押し上げる結果となっています。また、グラフではプラグインハイブリッド車が最もコストが高くなっていますが、これはイギリスにおける補助金制度が原因でもあるとのこと。イギリスの場合、EVに対する補助金が最も多く、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車は比較して少ない補助金しか支給されません。そのため、車両価格の高いプラグインハイブリッド車のコストが総じて高くなってしまうとのこと。補助金制度の異なる日本では、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車は同程度のコスト水準に落ち着くとのことです。

また、EVおよびハイブリッド系車両のメンテナンス費用が低いのは、ガソリンエンジンなどの内燃機関を持たないために機構がシンプルで、故障が発生しても修理費用が安くて済む点に加え、意外にも「ブレーキパッドの交換費用が少ない」という点にもある模様。減速時にモーターを発電機として利用する「回生発電」を行うEVやハイブリッド車は、ブレーキパッドの減りが少ないために交換費用が抑えられるという試算結果が示されています。

2017年時点では、補助金が多く支給されるEVがトータルで優位に立っているのですが、今後はEVの普及が進めば補助金がカットされることも考えられるので、そのメリットは減少する可能性も。しかし、主にバッテリーのコストが車両価格を持ち上げているEVも、量産が進むことで部品の単価が下がり、車両価格が下落することで、補助金の減少はほぼ相殺されるとも考えられているとのことです。

なお、この調査ではあくまで金銭面でのコストについて調査されており、二酸化炭素排出量といった環境に対する要素は含まれていない点は留意しておく必要があります。特に、大量の電力を作り出す際に排出される二酸化炭素の総収支や、大量のリチウムイオン電池を生産する際の環境負荷については完全に別の話題であり、それらの面をトータルに考えて初めて本当の「EVの総コスト」がはじき出されることを理解しておくことが重要です。

ちなみに、イギリスで売れているEVトップ5は以下のとおりとなっているそうです。

1位:ニッサン・リーフ 2万2250台
2位:BMW・i3 8800台
3位:テスラ・モデル S 6283台
4位:ルノー・Zoe 6227台 (日本未発売)
5位:ニッサン・e-NV200 2742台
http://gigazine.net/news/20171204-electric-car-cheaper-than-petrol-diesel/