地域「家賃3.6倍」耳疑う 福島・いわき。家流され入居災害公営住宅

福島県いわき市東日本大震災の被災者が入居する災害公営住宅で、来年4月から実施される家賃引き上げをめぐって入居者から悲鳴があがっています。来年3月で家賃が半額にされていた市の減免期限が終わることや、公営住宅法に基づく措置で「収入超過者」には最大で11万円を超える家賃が検討されているのです。

いわき市内に16ある災害公営住宅の一つ、豊間市営団地の3LDKに家族3人で入居する遠藤ひろみさん(53)は先月、市営住宅の担当者が明かした金額に一瞬、耳を疑いました。

 それは来年4月には8万6千円に、2019年4月からは「11万5千円」になるというのです。現在の家賃は3万1800円で、実に3・6倍という大幅値上げです。

 遠藤さんは担当者にこう言葉を返すのがやっとでした。

 「私たちは、津波で家を流された被災者のための災害公営住宅に住んでいるんですよね、(こんな大幅な値上げは)なんなんでしょうね」

生きる力

 遠藤さんは日本共産党の渡辺博之市議に、「納得できないし、住んでいられない」と打ち明けました。11月30日、渡辺市議、坂本こういち市議のよびかけで災害公営住宅に入居する関係者の話し合いが行われました。

 遠藤さんは、夫婦共働きで35万円の月収があるものの3人の子どもを通わせた大学や専門学校の学費などの教育ローンの返済が毎月12万円あり、これに11万5千円の家賃が加われば、ここに住んでいられなくなる、と訴えました。

 東日本大震災津波に一瞬にしてのみ込まれ、流された自宅。絶望的な中でも野球好きの次男岩手県の私立大学付属高校野球部に入り、2年生で甲子園大会に出場してホームランを打ったこと―。

 「学費や他県での生活費、遠征試合での旅費など大変でしたけど、生きる力をもらいました。子どもたち3人、それぞれが人生を生きていく支援ができたので、いまその支払いに全力を挙げています。家賃もちゃんと払い続けています」

適用是正

 遠藤さんの話にじっと耳を傾けた元薄磯団地自治会長の大河内喜男さんが、2月に団地自治会長や区長の連名で減免制度の延長を市長に申し入れた経過を伝えました。

 渡辺市議が、決して高額収入とは言えない、収入から控除額を差し引いた「政令月収」15万円以上を「収入超過者」として、公営住宅から追い出しを迫る公営住宅法の災害公営住宅への適用の問題点を指摘。これを是正するとともに、市の減免制度を延長させる運動で、「被災者に寄り添う街づくり」へ全力をあげる決意を述べました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-04/2017120419_01_1.html