中国<コラム>社員を見たらドロボーと思え?中国人従業員に対しては「新・性善説」で

レコードチャイナ 2017年12月4日 15時20分 (2017年12月4日 20時03分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20171204/Recordchina_20171204034.html

「社員を見たらドロボーと思え」と言っていたある日系企業の社長さんがいました。ある企業では、自社の試作品が市場で売られていたことがあったそうです。中国企業でさえ、経理部門は総経理(社長)の身内で固めていることが多くあります。長い歴史の流れをくむ現代中国社会の企業統治は、性善説によるのがよいのか、はたまた性悪説によるのがよいのか?悩ましい判断が求められます。

【昔と変わらない経営者の悩み】
日本でも自分が勤める会社に背任行為をはたらいたりすることがありますが、一般的には外部からこっそり侵入してくる、ドロボーへの対策をしっかりとしておけば一応安心できます。中国で仕事をしていると、部外者が侵入することよりも、むしろ身内の社員が絡む内部事案が多いのに驚きます。

例えば、製造工場では原料の持ち出しや製品の横流しなどの不正行為は、枚挙に暇がないくらいです。果てはトイレットペーパーやボールペンの無断持ち帰りまで、しかもそれらは日常的に発生します。オフィス系の職場でも、社員が出入り業者からリベートを受け取ったりすることも少なくありません。そういう案件はそれこそどこの企業も多かれ少なかれ同様の悩みをもっているようです。

このようなことを放置していると、一般社員には管理のぬるい、いい加減な会社であるという印象を植え付けることになります。最初はトイレットペーパー1巻から始まり、その結果場合によっては経営に対して致命的な影響を及ぼしかねません。

性善説?】
では、どのように考えればよいのでしょうか?古来、日本では、小さな島国であることが影響しているのかもしれませんが、どちらかと言えば「性善説」によって運営されてきました。人間を信頼するところが物事の出発点でありました。

あるとき、新規に中国に進出した某著名日系企業に、私の会社が提供する商品を売り込みに行きました。私は、「外部からの侵入対策」と同時に「内部の不正防止対策」の両面で考える必要があるとの説明を経験値としてしました。日本とは価値観が異なり、さらに会社への帰属意識も薄いので、自社の社員といえども100%信頼するのは危険であるからです。

その企業の担当の方は、自社の社員は悪いことはしないと信頼しているので、内部対策は不要である、とのお考えであることがわかりました。

【それとも性悪説?】
日本人として、その考え方はよく理解できますし、そうありたいものですが、中国ではそうは言っていられないのが現実です。「性善説」だけで考えていると、どうしても脇が甘くなり時として足元をすくわれてしまいます。会社備品の持ち帰りや、製品の横流しなど、不正事案に対応しきれず、残念ながら中国現地の会社としての順調な発展は難しいと言わざるを得ません。

(全文は配信先で読んでください)