橋の修繕、今後50年で27兆円 「小市町村は財源困難

地方自治体や道路公社が管理する道路橋について、老朽化に伴う架け替えを含めた修繕費用が今後50年間で約27兆円に上るとの推計結果を、筑波大や高知工科大などの研究グループが3日までにまとめた。政令指定都市を除く市区町村の場合、単純計算で1自治体当たり年間1億5千万円程度の負担となり、小規模市町村に対する国の財政支援が課題となりそうだ。

 試算の対象は、2014年度時点で都道府県と市区町村、道路公社が管理していた約64万カ所の道路橋。約6割の自治体が作成済みの「橋梁長寿命化修繕計画」のデータを基に、従来通り不具合が見つかってから修繕工事を行う前提で、補修や架け替えなどの費用を積算した。

 修繕費の内訳は、政令市を除く市区町村が13兆4千億円で、都道府県が9兆9千億円、政令市が2兆6千億円、各地の道路公社が1兆4千億円だった。

 一方、目視による定期点検に加え、コンクリートの亀裂や鉄筋のさび付きを防ぐといった予防保全対策を実施した場合は、修繕費は約半分程度の15兆円に圧縮できるとした。

 調査を主導した筑波大の堤盛人教授(土木計画学)は「予防保全を行うケースでも、小規模市町村では財源確保が困難になる可能性が高い。費用を正確に見積もれる専門人材も不足しており、各自治体は将来に備え、真剣に対策を検討すべきだ」と指摘した。

 推計結果は、東京都内で5日開かれる土木学会建設マネジメント委員会で堤教授らが発表する。〔共同〕


日本経済新聞 2017/12/3 17:13

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24204640T01C17A2CR8000/